私は、この世界を救ったのだろうか。
人々は皆言う。
女神が我らを救ったのだと。
だが、本当にそうだろうか。
私はただ、壊しただけではなかったか。
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フォドラの歴史は、女神の救済から始まる。
だが本当にそうだろうか。
人は理解不能な出来事に直面したとき、それをそのままでは受け止めることができない。
だから人はそれを「人格」に変換する。
神の怒り。
神の救済。
そうすることで、人は初めて世界を理解できる。
そして、その物語は語り継がれる。
はじまりのもの
ソティスがその世界に降り立つと、そこには非常に発達した科学技術を持つ文明が存在した。
科学技術の発達により、本来あった自然は破壊され、
そこに暮らす人々さえ資源のように扱われていた。
このままでは、この世界は破滅する。
ソティスは、この世界をやり直すことにした。
ソティスにより、世界は海に沈められた。
それは結果として、元々あった文明を破壊することとなった。
けれど、そこに暮らしていた人々はソティスに感謝した。
飢えから救ってくれたことを。
そして、支配から解放してくれたことを。
人々は、立派な祭壇を作り、ソティスを崇める。
苦しみから救ってくれた女神を。
そして、また苦しみから救ってほしいと。
それは、ソティスの望んだ形ではなかった。
ソティスは、自分の配下に人々を見守るように言い残し、その世界から去る。
人に世界を託したつもりだった。
しかし、人々の思いは一つではなかった。
女神の眷属を慕い、その言葉に従う者たち。
そして、神の支配を拒む者たち。
それらの様子を、静かに見つめる者たちがいた。
彼らは、かつてこの世界に栄え、女神によって滅ぼされた
古代文明の末裔であった。
彼らの存在は、やがて一人の男を歴史の表舞台へと押し出すことになる。
