◾️あらすじ
港町でトラブルに巻き込まれた魔導士ハルモンは、“獣哭のカライス”と呼ばれる騎士に助けられる。
この出会いが、
二人の奇妙な関係の始まりだった。――それが、すべての始まりだった。
薬作りの材料を求めて、国で一番大きな港町まで来てみた。
けれど僕は今、そのことを猛烈に後悔している。
王都ではさほど問題にならなかったが、生まれ持った金髪と整った顔立ちが”目立ちすぎる”のだ。
「こんにちは。これとこれでいくらになりますか?」
商品を手に店主に尋ねる。
しかし、目が合っているのに返事は一向に来ず、沈黙が流れる。
(あれ、聞こえてない?)
「あのー」
もう一度声をかけると、店主は慌てた様子で「は、はい!?すみません、何か言いました?」と返事をした。
「ええと……」
もう一度話をしようと口を開くと、後ろを通りがかった人たちが立ち止まり、ヒソヒソと話し出す。
「きれい……」「女の人?」などと話す内容が聞こえてくる。
(……すごい見られてるなぁ)
居心地の悪さを覚えて、一旦立ち去ろうかとした時、小さな悲鳴が聞こえたかと思うと、何かが地面に落ちるような物音がして、空気がざわついた。
とっさにそちらを向くと、数人の男たちが近づいてきて、あっという間に僕の周りを取り囲んだ。
「これはこれは……ものすごい別嬪さんだ。なぁ、ちょっと向こうで遊んでかないか?」
「安心しな。痛いことはしないからさぁ……」
そう言って、腕を掴まれる。
……まずい。これは完全にまずい。
声を上げるべきか迷ったが、かえって事を大きくする気がして、口を閉ざした。
僕が抵抗を試みようとしたそのとき。
「おい、通行の邪魔だ」

コメント