エンゲージには四つの国がある。
しかし、
それらの国が『どんな国なのか』を
説明できるプレイヤーは、
ほとんどいない。
プレイ体験は良いが、国の構造が見えない
『ファイアーエムブレムエンゲージ』は
戦闘システムが非常に優れており、
プレイしていてとても楽しい。
キャラクターにもそれぞれ個性があり、
魅力的に描かれている。
でも、国がよくわからない。
ソルムってどんな国?
フィレネは中立国家なのか?
イルシオンってなんで邪竜信仰?
ブロディアって何をしている国?
『ファイアーエムブレム風花雪月』では、
教会や貴族社会、騎士団があったし、
『ファイアーエムブレム聖戦の系譜』では
血統貴族が存在した。
だがエンゲージは、
何度プレイをしても、
国のことだけ全く見えてこない。
本来の国家の構造
本来、国家にはまず環境があり、
その環境から社会が生まれ、
思想に繋がる。
例えば、
砂漠なのであれば交易国家だとか。
寒冷地なのであれば、
軍事国家や資源国家だとか。
エンゲージでは
そのような要素が全く説明されることなく、
ストーリーだけが前に進んでいく。
エンゲージの国は「雰囲気」だけある
フィレネは『平和国家』。
街は花に囲まれ、なんとなく平和そうだし、
お城も美しくてきれい。
ブロディアは『軍事国家』。
岩に囲まれてゴツゴツしてて、
なんとなく屈強そう。
イルシオンは『宗教国家』。
寒そう。
なぜか邪竜を信仰している。
ソルムは『砂漠国家』。
砂漠の中にあって、
なんとなく商売で儲けてそう。
どれも、
なんとなく「雰囲気」だけはある。
だが、肝心の社会構造が描かれていない。
例えば、貴族や商人、民衆、宗教組織といった
社会を構成している人物たち。
これらが、
エンゲージではほぼ出てこないのだ。
その結果どうなるか
国家が存在しないため、
各国の王族が、国家を背負うこととなる。
それはつまり、
王族が説明役になるということだ。
説明役となったキャラクターは歪み、
挙動や言動が不自然になる。
代表例:スタルーク
スタルークは、歪みを受けている状況が
いちばん分かりやすいキャラクターだ。
彼はストーリーの序盤で登場する。
登場してすぐに、
彼はブロディアという国家の説明と
自身の劣等感キャラを両方背負うこととなる。
国家の説明役と劣等感キャラの二つが衝突し、
精神は不安定となり、行動も激しくなる。
つまり、キャラクター自身の人格ではなく
機能が優先されるのだ。
でもその後、兄・ディアマンドが登場すると
国家の説明がディアマンドに移る。
すると、
スタルークは本来のキャラクターにもどり
精神が安定する。
彼の精神が安定することは、
プレイヤーの安心にも繋がる。
きっと、彼自身も
人間に戻れてほっとしたことだろう。
臣下が安定する理由
臣下は基本的に国家の説明を背負わないので、
最初からキャラクターとして存在できている。
ルイは百合を愛でていればいいし、
ゴルドマリーは自信満々に謙虚でいればいい。
歪みを背負わないキャラクターは
本来の個性が輝き、
世界の中で生き生きとしている。
もし国家構造があったら
もし、
イルシオンに国家構造を盛り込むとしたら
どうなるだろうか。
少し考えてみたので紹介する。
寒冷地に位置するイルシオンは
資源不足に悩まされている。
そのため外征が多くなるが、
成果を出すためには力を必要とした。
力を求めた彼らは力の宗教に縋り
邪竜を信仰することとなった。
これで宗教国家が成立する。
結論
エンゲージには国家がない。
そのため、キャラクターが国家となり
キャラクターが歪んでいた。
なお、主人公のリュールは
神竜という存在や世界の中心、
そしてなにより
『全キャラクターの戦う動機』、
これらをすべて一人で引き受けている。
だから歪みすぎて、人格が薄い。
もはや人格が読み取れない。
これは、
エンゲージの設計上避けられないことであり
プレイヤー投影キャラクターの宿命でもある。
追記
エンゲージの国家が薄いのは
作り込み不足ではない。
むしろ逆だ。
この作品の主役は国家ではなく
指輪に宿る英雄たちだからだ。
そのため、
世界はあえて「舞台装置」として作られている。

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