人間は神から解放されるべきだと主張した男がいた。
後の世で解放王と呼ばれる男、ネメシスだ。
彼は生まれ持ったカリスマ性をもって、同じ思想を持つ者たちを鼓舞した。
彼は、女神の支配から人を解放するために掲げられた旗印だった。
なお、この同じ思想を持つ者たちは、後の世でフォドラ十傑と呼ばれることとなる。
解放王ネメシス
彼らは、人々を神の支配から解放したいと願ったが、神に対抗する手段を持たなかった。
そんな彼らに手を貸したのが、女神によって滅ぼされた、かつての古代文明の末裔である。
彼らは女神に敗北した後、研究を重ね、技術を研ぎ澄まし、神の力を用いた技術を実用化できるレベルにまで完成させていた。
それらの技術を用いて、力をつけたネメシスらは、女神の眷属たちが静かに過ごしていたザナドを襲撃した。
この戦いで多くの女神の眷属たちが死に、その地で眠りについていたソティスの体も含め、ほぼすべてが人間たちにより持ち去られた。
たった一人残された女神の娘-セイロスを除いて。
紋章と英雄の遺産
古代文明の末裔たちは、人間たちに持ち帰らせた、女神と女神の眷属たちの遺骸を用いて、神を超越すべく兵器を生み出した。
遺骸から取り出した骨を土台とし、力の源である心臓を埋め込んだ武器。
そして、遺骸から取り出した血を人間に与える。
血を与えられた人間は強大な力を手にし、遺骸から作られた武器を振るえば、それはまさに神々の再来のようだった。
人に神の血を与えて、神の力を振るわせることは、古代文明の末裔たちにとって神への復讐と同義だった。
そして同時に、その行為は神にとっては犯してはならない禁忌であった。
聖者セイロス
神への反逆者どもを滅ぼさねばならない。
セイロスは、仲間たちを奪った盗賊-ネメシスら人間たちに復讐を誓う。
だが、この世界の人間たちは、かつて母の愛した者たちだ。
それをすべて滅ぼすことは、セイロスの真意ではなかった。
そして、それを実現させる力も、もはやたった一人のセイロスに、残されてはいなかった。
セイロスは、各地に散っていた女神の眷属たちを呼び集めると、女神を慕う人々を束ねあげ、ネメシスら反逆者らと対抗しうる勢力を作り上げた。
そして、ネメシスらに対抗するため、自分たちを慕う人間たちに血を与えた。
これは禁忌だ。
だが、復讐を果たすために、他に手はなかった。
タルティーンでの戦いで、セイロスはついにネメシスを打ち滅ぼす。
神の手による、禁忌の逆輸入。
それこそが、この戦いでの勝敗を決した。
そしてこのことが、後のフォドラ社会を歪ませることになるのである。
