更新不能
構造論Ⅰで、
やみうごは「完全完成体が生まれた瞬間に失敗となる」、
更新不能な組織であることを紹介した。
これを読んで、
あなたは
「やみうごは、間違った思想を持つために
止まれなくなったのだ」
と感じたかもしれない。
違うのだ。
やみうごは、
間違っているから止まれないのではない。
正しく、合理的であり続けるから止まれない。
ここが、やみうごの不憫でかわいいところなのだが、
彼らは、状況を判断できないわけでも、
誤りに気づけないわけでもない。
ただ、
「止まる」という選択肢が
合理性の中に存在しない。
失敗が「まだ途中」になる構造
やみうごは、
自分たちが最初に設定した前提を
疑うということをしない。
一度も止まらず、
正しいと信じて進み続ける。
たとえば彼らは、
「人間は管理しないと壊れる存在だ」
と考えている節がある。
これは、
観察としては正しい。
経験的にも合っており、
現実でも否定しづらい。
そこから彼らは、
「選ばせない」
「考えさせない」
「役割を与える」
という結論を選んでしまった。
この時点で、
失敗は失敗として認識できなくなる。
しかも彼らは、頭がいい。
初めから役割分担を徹底した結果、
最高効率で、間違い続けている。
理知的すぎる未完成。
それが、やみうごなのだ。
タレスがかわいくない理由
クロニエは考えなくて素直でかわいい。
ソロンは考えるけど、
自分たちの設計に自信を持っていて、
想定が崩れると焦るからかわいい。
じゃあタレスは?
…そう、彼はかわいくない。
愛でる余地が全然ない。
タレスは、自分たちの設計が完成しないことに、気づいてしまっている。
でも、止まらない。
期待もしない。
彼はおそらく
「我々は完成しない。
それでも、やるだけだ」
という地点に立っている。
だから、蒼月で急に殺されたときも驚かないし、取り乱すこともなかった。
もう“結果”を織り込み済みだからだ。
自分も使い捨てであり、
失敗も織り込み済み。
文明が続けばそれでいい。
この達観が、かわいさを完全に殺している。
タレスに関してだけはこのように、語る余地をプレイヤーに与えてくれない。
考えてしまった個体の破綻
では、
この構造の中で
「考えてしまった個体」は
どうなるのか。
答えは単純だ。
彼らは、
壊れる。
なぜなら、
考えると、自分たちのやっていることに疑問を持ってしまう。
意味を問うてしまう。
自分で選ぼうとしてしまう。
これらは、
やみうごの設計そのものと衝突することにつながるので、
気づいてしまった個体は即排除されることとなる。
やみうごの設計を破綻させないために、必要なことなのだ。
かわいい以前に、
これは
止まれない構造の末路だ。
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