なぜマクベスは排除されなかったのか
暗夜王国の敵キャラクターとして登場するマクベスは、
目的のためには手段を選ばない性格で、
暗夜王族からの信頼も、正直言って薄い。
にもかかわらず、彼は排除されることなく、
権限を与えられ、軍師として“機能している”。
なぜなのだろうか。
感情的に見れば、彼は明らかに「嫌われ役」だ。
だが、国家の構造という視点で見ると、
まったく違う姿が浮かび上がってくる。
暗夜王国の前提:国家として成立していなかった構造
前回の記事では、暗夜王国を
「国家として成立していなかった構造」として整理した。
王は存在する。
しかし、官僚機構や貴族層、
民意を代表する組織は描かれていない。
王の下にぶら下がっているのは、
役割を持たない血縁者と、
王の意思を直接実行する私的な実働部隊だけだ。

この構造では、
「意思決定」と「実行」が制度として分離されていない。
国家ではなく、
個人の判断と力で動く集団に近い。
このような構造の中で、
国家の代わりに“機能”を引き受ける存在が現れるのは、
ある意味で自然な流れだった。
「嫌われるが動かせる人間」が必要とされた
国家を運営する上で、
決断の速さは、それ自体が正義になる。
特に、ガロン王による恐怖政治の下では、
対話や合意形成は機能しない。
統治を支えるのは、技術と暴力だ。
その構造の中で必要とされるのは、
「嫌われるが、確実に物事を動かせる人間」である。
目的のためには手段を選ばない。
そうした人物こそが、
この体制において“適任”だった。
重要なのは、
彼が「有能だった」かどうかではない。
この国家構造の中で、
彼が“機能してしまった”という事実だ。
マクベスはなぜ“機能してしまった”のか
ここで名前を挙げるなら、
それはマクベスだろう。
彼は王族からの信頼が厚いわけでもなく、
人格的に優れているわけでもない。
むしろ、不快で、信用しづらい人物として描かれている。
それでも彼は、
軍師としての地位と権限を与えられ、
暗夜王国の中枢に居続けた。
理由は単純だ。
彼が「目的を実装できる側」の人間だったからだ。
ノスフェラトゥに代表される魔導技術や、
人の倫理を踏み越える選択。
それらは公式に明確な説明があるわけではないが、
少なくとも暗夜という体制の中では、
極めて相性の良い手段だったように見える。
マクベスは、
国家として成立していなかった暗夜王国において、
制度の代わりに“機能”を引き受けていた存在だった。
恐ろしいのは、
マクベスが悪だからではない。
彼のような人間が必要とされてしまう国の構造だったのだ。
排除できなかったのではない
この構造で見ると、
マクベスが「嫌悪される存在」であったこと自体が、
ある意味で必然だったことが分かる。
それは、マクベス個人の資質というより、
暗夜王国という体制が生み出した必然だった。
排除できなかったのではない。
排除すると国が止まるから、できなかったのだ。

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