若きセテスが教えてくれたこと──ベレトは、なぜ最後まで人間だったのか

※この記事には『ファイアーエムブレム 風花雪月』および『FE万紫千紅』公開情報に関する考察を含みます。

若き日のセテスを見て、最初に気になったこと

『FE万紫千紅』のPVにて、若き日のセテスと思われる人物が公開された。

まず目を引いたのは、その髪色である。

金髪。

『風花雪月』では鮮やかな緑髪だったセテスが、若い頃は金髪なのだろうか。

一瞬、こんな仮説が頭をよぎった。

眷属になりたてだから、まだ髪色が違うのではないか。

……しかし、この考えはすぐに棄却した。

セテスは、おそらく髪を染めている

理由は単純である。

眉毛が緑色のままだからだ。

さらに、『風花雪月』ではレアもまた、ネメシスを討った時代には金髪で活動していた。

眷属たちは、人間社会へ溶け込むために髪を染めていた可能性が高い。

つまり、髪色だけでは眷属の正体は分からない。

では、本当に注目すべきなのは何なのだろう。

耳だけは変えられない。

髪は染められる。

しかし、耳は変えられない。

セテス。レア。フレン。

『風花雪月』に登場する彼らは皆、普段は耳を隠している。

特定のルートを終盤まで進めると、レアの尖った耳を確認することができる。

さらに、『風花雪月』では、彼らはかつて竜へ姿を変えることができたことも語られており、実際にレアは姿を変えてみせる。

一方で、ベレト/ベレスは違う。

神祖ソティスの心臓を宿し、最終的にはソティスと融合する。

それにもかかわらず、耳は最後まで人間のまま。

竜へ姿を変えることもない。

ここに、ずっと気になっていた違和感がある。

ベレト/ベレスは、眷属ではない

作中でエーデルガルトは、ベレト/ベレスを「女神の眷属」と認識している。

だが、プレイヤーは真実を知っている。

ベレト/ベレスは眷属ではない。

女神ソティスそのものと一つになった存在である。

普通に考えれば、神祖と融合したのだから、眷属以上の存在になっても不思議ではない。

しかし実際には違った。

ベレト/ベレスは竜にならない。

耳も変わらない。

最後まで、人間として生き続ける。

それは設定ではなく、作品の答えだった

ここまで考えて、ようやく気付いた。

これは単なる設定ではない。

『風花雪月』という作品そのものが描きたかったことなのではないか。

私は以前、『風花雪月』は「神から人へ役割が渡される物語」ではないか、という考察を書いた。

神が世界を導く時代は終わる。

そして、人間が自ら未来を選び取る時代が始まる。

もしベレト/ベレスが完全な眷属となり、神として世界を導く存在になっていたなら。

『風花雪月』は、神が神へ世界を受け継ぐ物語になってしまう。

しかし、実際はそうならなかった。

神の力を持ちながら、最後まで人間として生きる。

だからこそ、世界は神から人へと受け渡されたのである。

若きセテスが教えてくれたこと

『FE万紫千紅』では、若き日のセテスが描かれる。

おそらく、力を失う前の眷属たちの姿も描かれるだろう。

だからこそ逆に、ベレト/ベレスという存在の異質さが際立って見えてくる。

眷属とは違う。

神でもない。

それでも神の力を受け継ぎ、人間として未来を選ぶ存在。

若き日のセテスを見ていて、私は初めて、ベレト/ベレスが最後まで人間だった理由が分かった気がした。

設定上の都合ではない。

『風花雪月』という作品が、「神から人へ」と世界を受け渡す物語だったからなのだ。

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この記事を書いた人

元個人事業主。
関係性オタクであり因果律職人。
成立しない関係を、成立させてしまう物語。
救いより納得。
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構造分析×FE考察×一次創作
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