これは『if』暗夜ルートの
カムイの不殺主義について考え続けた末に
ある朝、一本の物語として降ってきた話です。
ガロン王からの命を受け、カムイはギュンターとフェリシアを伴い目的地へ。
そこでカムイは、白夜兵を殺さぬよう「手加減」するよう命じる。
ギュンターは自分たちに危険があるからやめるよう諭すが、カムイは聞き入れない。
「僕は敵も味方もなるべく犠牲を出したくない」
しかし、カムイが守りたい世界は
彼のルールを守ってはくれなかった。
生き残った敵兵の不意打ちだ。
フェリシアの背後から刃が振り下ろされる。
それをギュンターが救うが、
ギュンターは利き腕を失ってしまう。
それでも、ギュンターはカムイを責めない。
「私は大丈夫ですから。カムイ様は、どうかそのままご自身の理想を歩んでください」
***
カムイの気持ちはわかる。
だが、今は戦時中だ。
世界はそんなに甘くない。
それでも、カムイの気持ちはなるべく尊重してやりたい。
マークスは、カムイの理想を否定しなかった。
その代わり、軍の皆にこう命じる。
「カムイには決して見つからないように」と。
***
「なぜ殺したんだ!」
「仲間の命が危険だった。こうするしか…」
「敵だって、僕たちと同じ命なんだ。帰りを待つ家族だっているだろう。それをこんな…一方的に奪っていいはずがない」
カムイは決断した。
「…もういいよマークス兄さん。僕がやる。軍のみんなには僕が言うから」
カムイはそう言い残し、その場をそそくさと立ち去った。
マークスは、小さくなっていくその背中を見つめることしかできなかった。
***
カムイは軍の全員に伝えた。
「いかなる場合でも、決して敵の命を奪うな」と。
日に日に戦闘は激しさを増している。
そんな中でのその命令。
軍全体に困惑と不安の色が広がった。
***
次の戦いのときにそれは起こった。
生き残った敵の刃が、カムイの背に届く寸前ーー
マークスは身を挺してカムイを守った。
敵兵は、狙いをマークスに変えた。
ここで死ぬーーーそう覚悟した。
だが、次の一撃はついぞ降ってこなかった。
カムイの剣が、敵の胸を貫いていた。
カムイの顔は、真っ青だった。
***
誰も、何も言わなかった。
敵兵が死んだこと。
それをやったのが、命令した本人だったにもかかわらずだ。
それ以来、カムイは皆に「敵を殺すな」とは言わなくなった。
***
カムイは街を歩いていた。
気持ちが沈んでいたところ、気分転換になるだろうからと仲間が気遣ってくれたのだ。
道の先に、片腕のない男性がいるのを見つけた。
荷物を運ぼうとしているらしい。
カムイはとっさに近くにより、「手伝います」と声を掛けた。
「ありがとう。助かった」
「大変ですね。…その腕は?」
「ああ、以前兵士をやっていて、その時に。でも、こうして生きて戻ってこられたからよかったよ」
男性はカムイに礼を言うと、家に戻っていった。
カムイは立ち尽くし、しばらくその場から動けなかった。

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