殺せない出会い

これは“庭を変えただけの同じ物語”


侵入は容易だった。

途中で鉢合わせた兵は、すべて始末した。  
血の匂いがまだ鼻に残っている。

敵の指揮官を、この手で殺す。  
それだけを考えていた。

扉を開ける。

部屋の奥に、ひとり座っていた。

静かだった。  
怯えも、抵抗もない。

ただ、こちらを見ている。

足を進める。  
迷いはないはずだった。

剣を抜く。  
そのまま、首元へ突きつける。

触れている。

それでも、動けない。

視線が合う。

なぜか、踏み込めない。

「……怖くはないのか」

ようやく出た声は、思っていたより低かった。

「さぁ」

男は、少しだけ首を傾ける。

「僕には関係のないことだよ」

一拍、置いて。

「それに」

静かに続ける。

「君に、僕は殺せない」

刃は、離れない。

ただ、そのまま止まっていた。


庭を変えて遊んでます。
関係性は同じです。

▼庭を変える創作論はこちら

脳が焼けたら、そっと押してください

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この記事を書いた人

関係性オタク。
成立しない関係を、成立させてしまう物語。
救いより納得。
読むと、脳が焼けます。
構造分析×一次創作
添削・相談もやってます。

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