これは“庭を変えただけの同じ物語”
侵入は容易だった。
途中で鉢合わせた兵は、すべて始末した。
血の匂いがまだ鼻に残っている。
敵の指揮官を、この手で殺す。
それだけを考えていた。
扉を開ける。
部屋の奥に、ひとり座っていた。
静かだった。
怯えも、抵抗もない。
ただ、こちらを見ている。
足を進める。
迷いはないはずだった。
剣を抜く。
そのまま、首元へ突きつける。
触れている。
それでも、動けない。
視線が合う。
なぜか、踏み込めない。
「……怖くはないのか」
ようやく出た声は、思っていたより低かった。
「さぁ」
男は、少しだけ首を傾ける。
「僕には関係のないことだよ」
一拍、置いて。
「それに」
静かに続ける。
「君に、僕は殺せない」
刃は、離れない。
ただ、そのまま止まっていた。
庭を変えて遊んでます。
関係性は同じです。
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