甘いパンケーキの話に違和感を混ぜたら、感想がかなり面白かった

先日、noteで行われたこちらの企画に参加させていただいた。
お題は、家以外の場所での食事と、脊髄反射。
私はBLっぽい配置の中にズレを仕込み、読後に違和感の残る作品を書くことにした。
そうして書き上がったのがこちら↓

可愛い先輩とパンケーキの話だ。
一見すれば、かわいらしい雰囲気。
でもその中に、少しだけ違和感を混ぜてみた。
その結果、感想がかなり分かれた。
「懐かしい」
「初めてのデートっぽい」
「惜しい」
「ワンチャンあった」
「張り詰めた空気」
「主人公がかわいい」
なぜ、こんなに解釈が分かれるのか。
私は、そこに“余白”と“認知負荷”が関係していると考えている。
今回は、実際の作品を分解し、解説してみようと思う。
認知負荷を、どこに置くか
今回の短編で最初に意識したのは、「読者にどこで脳を使わせるか」だった。
例えば、舞台。
パンケーキ屋という場所は、多くの人がすぐイメージできる。
可愛い店内。
女の子同士やカップルばかりの空間。
ふわふわのパンケーキ。
状況理解に必要な負荷はかなり低い。
会話も、基本的には普通だ。
メニューを選び、紅茶を飲み、パンケーキを食べる。
何が起きているのかは、誰でも分かる。
だからこそ、読者の脳は別の場所を見る余裕ができる。
その結果、“関係性のズレ”だけが浮き上がる。
接触はある。でも、接続していない
この作品、実は接触自体はかなり多い。
女装。
写真撮影。
食べ物の交換。
同じ飲み物を選ぶ。
普通の恋愛文法なら、「距離が縮まるイベント」が大量に置かれている。
でも、なぜか噛み合わない。
理由は単純で、主人公が常に“正解”を探しているからだ。
自分が何を食べたいかではなく、
「何を選ぶのが正しいか」を優先している。
紅茶もそう。
本当はストレートで美味しいと思っていたのに、湊先輩が砂糖とミルクを入れているのを見て、自分も同じように入れる。
そこに自分の意思はほとんどない。
だから、接触は成立していても、接続が成立していない。
私は、このズレをかなり意識して書いていた。
なぜ感想が分かれたのか
今回、かなり面白かったのが読者の反応だ。
▼実際に頂いた感想の引用
初めての人と初めてする慣れない格好で自分なら選ばない場所でよく分からないものを食べる。 なんかすごく懐かしいシチュエーションやなぁと思いました!初めてのデートってほんまにこれですもんね。
最後の湊先輩のセリフは刺さりますね、物理的に胸にね。
間違えないようにしたつもりが間違ってたような、何というか意図が汲みにくい😅 でもそんなこと言うから次こそは湊先輩を攻略してやろうって気にもなってしまうのかも。
先輩は先輩の方で何か、思ってたことがあるんですかね。「そっちも食べたいな」でワンチャン、あーん展開とか😊
ふわふわ可愛らしい空間なのに、なぜか張り詰めた空気と緊張感を感じる、初めての空気を感じた作品でした。でも、何だか主人公くんが可愛らしいです🎀
究極のマイペースの人なんだなぁと私は思って読んでました🤔自分のルールはあるが、人に干渉はしない。でも、主人公の彼は自分のルールより相手のルールで動いている。 湊先輩が引っ張ってくれたらうまくいきそうな絶妙な関係性ですね🤣
「懐かしい」
「初めてのデートっぽい」
「惜しい」
「ワンチャンあった」
「張り詰めた空気」
「主人公がかわいい」
なぜ、こんなに解釈が分かれるのか。
それは、作品内で感情を説明しきっていないからだと思う。
湊先輩の本音は、最後まで明確には書いていない。
主人公自身も、自分の感情を言語化できていない。
だから読者側が、自分の経験や感情を流し込む余白が生まれる。
初恋を思い出した人は、“不器用さ”を読む。
怖いと感じた人は、“自己喪失”を読む。
惜しいと感じた人は、“すれ違い”を読む。
全部、間違っていない。
「余白」は、説明不足ではない
私は普段から、あまり全部を説明しない。
状況だけ置いて、あとは読者に委ねることが多い。
もちろん、単純に説明を削ればいいわけではない。
全部を曖昧にすると、読者は「何を読めばいいのか」が分からなくなる。
だから今回は、
- 舞台
- 状況
- 行動
は、かなり分かりやすくした。
その代わり、
- 関係性
- 感情
- 温度差
の部分だけに余白を置いた。
その結果、読者ごとに違う感情が立ち上がった。
これは、自分の中でもかなり面白い観測結果だった。
甘いパンケーキの話なのに、読後に少し違和感が残る。
そんな話を書きたかった。
思っていた以上に、面白い観測結果になった。
▼作品はこちら
▼あとがきはこちら



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