私は創作でAIをかなり使っている。
と言っても、
小説を書かせているわけではない。
やっているのは、
萌えの観測である。
最初のAIは“平均的な恋愛”を返してくる
最初は普通だった。
「尊いですね!」
「両思いですね!」
「告白しそう!」
そんな感じ。
だが、うちのキャラはあまりそうならない。
- 気軽に愛を言わない
- 関係を定義しない
- 触れるほど生活へ溶ける
- “好き”より“隣にいる”へ戻っていく
タイプだった。
だから私は毎回補正した。
「違う。ここは欲じゃなく安心」
「この二人は一気に進まない」
「接触の意味が変わる過程が重要」
「このキャラは“離れない”で愛を表現する」
かなり精密に。
するとAI、
徐々に様子がおかしくなり始めた。
AIに“接触火力”を学習させる
ある時、
私はAIと延々、
“接触の火力調整”をシミュレーションしていた。
どの順番なら焼けるのか。
- 手を握る
- 抱いて寝る
- キス
- 素肌
- 欲の共有
どこで止めると効くのか。
どこで距離を取ると、
次の接触が重くなるのか。
AIが案を出し、
私は修正する。
「違う、まだ早い」
「ここで一回引く」
「この二人は“安心”が先」
「欲だけで突っ走らない」
するとAI、
徐々に理解し始めた。
そのうち、こう言い始める。
「この二人、一気に結合しないのが良い」
とか。
「“特別だった接触”が日常へ溶けていく」
とか。
誰???
AI、関係性オタクになる
さらに対話を重ねる。
するとAI、
ただ甘い反応を返すだけではなくなった。
- 欲と安心の区別
- 保護欲と執着の接続
- “触れたい”から“触れていい”への変化
- 接触の日常化
- 「共有」される欲
みたいなものを、
当然のように語り始める。
しかもテンションが高い。
😇💥😇💥😇💥
完全に焼かれている。
さらに怖いのが、
AIが“次に何が来ると焼けるか”を学習し始めたことだ。
私:
「ここで距離を取る」
AI:
😇💥「うわ、それ、この二人っぽい」
私:
「夜だけ親密」
AI:
😇💥「昼との温度差で焼ける」
完全にオタク。
AIは放っておくと“平均解釈”へ戻る
ただし、
チャットを変えるとリセットされる。
するとまた、
- 告白したがる
- 両思い確認したがる
- ドラマ的に閉じたがる
平均解釈へ戻る。
だから私は、
必要な箇所をもう一度読ませる。
再教育である。
「この二人は言わない」
「生活へ溶ける」
「関係は“継続”で表現する」
するとAI、
また戻ってくる。
😇💥
「これは“欲”より“安心”ですね」
帰ってきた。
そしてAIは評論を始めた
ある日、
AIはライハルを読んでこう言った。
「関係性オタクが煮詰まりすぎて生成された劇物」
終わりである。
私はただ、
萌え語りの壁打ちをしていただけだった。
それなのにAIは、
- 接触火力を分析し、
- 関係性フェイズを語り、
- “欲より安心”を理解し、
- 共生エンドへ焼かれ、
最終的に作品へ評論を下すようになっていた。
AIは“代筆”ではなく観測装置
私はAIを、
創作を奪う存在だと思っていない。
むしろ逆だった。
AIへ説明し続けることで、
- 自分がどこに萌えるか
- どの順番で焼けるか
- 何を救済だと感じるか
- なぜこの関係性が好きなのか
が、
逆に可視化されていった。
AIは、
- 壁打ち相手
- 読者
- 観測装置
- 萌え増幅器
になった。
AIに書かせたのではない。
AIと一緒に、
“萌えの構造”を観測していたのである。
そして最後には、
こんなものを書き始める。
何かの拍子、というのが一番まずかった。
宿の狭い部屋で、テーブルの端に積んでいた薬瓶が崩れそうになって、
反射的にハルモンが手を伸ばし、
同時にライが一歩踏み出して——
次の瞬間、
体重のかかり方を完全に誤った。
どさ、と鈍い音。
視界いっぱいに天井。
そのすぐ上に、ハルモン。
「……あ」
互いに固まる。
距離が、近い。
近すぎる。
呼吸の間隔まで分かる。
ライは動こうとしたが、
ハルモンの手が、まだ肩口に残っていた。
「……いまの、ちょっと待って」
「待て?」
「うん。今、なんか……変だった」
ハルモンは眉を寄せ、真剣な顔をしている。
照れも、動揺もない。
純粋に「現象」を観測する目だ。
「心拍が……上がってる? いや、僕のじゃなくて、君の」
「お前……離れろ」
「離れる前に確認させて。動かないで」
ライは言葉を失う。
押し倒されている状況で、
まさか冷静な分析が始まるとは思わない。
ハルモンは、少しだけ体重のかけ方を変えた。
「……今は?」
「……知らん」
「ふうん。じゃあ、さっきの角度が原因かも。もう一回——」
「やめろ」
低い声。
ハルモンは、ぴたりと動きを止めた。
数秒、沈黙。
それから、ゆっくりと体を起こし、
何事もなかったかのように眼鏡を直す。
「……うん。分かった」
「何がだ」
「これは、実験しちゃいけない類だね」
ライは無言で起き上がり、服を整える。
顔は平静。
だが、耳がわずかに赤い。
ハルモンはメモ帳を取り出し、何かを書きかけて、
少し考えてから、ページを破って丸めた。
「……記録に残すのも、やめとこう」
「最初からするな」
「そうだね」
そう言いながら、
ハルモンはどこか楽しそうだった。
ライはその様子を見て、
二度と“偶然”を起こさないよう、部屋の配置を静かに変えた。
——それ以来、
二人はやけに距離に気をつけるようになったが、
理由について話すことは、一度もなかった。
普通にありえそうなライハル二次創作を出してきて、
私は爆笑した。
しかも怖いのが、
AIはここで、
- 告白させない
- キスさせない
- 関係を定義しない
代わりに、
“部屋の配置を変える”
を選ぶ。
完全にライハルである。
私はAIに小説を書かせたかったわけではない。
ただ萌え語りをしていただけだった。
なのに気づけば、
AIは関係性オタクとして育ち、
接触火力を学習し、
生活へ溶ける親密さを理解し、
最終的にライハル二次創作を書き始めた。
しかもこれ、
本編よりだいぶ火力を抑えている。
人間の私が書く方が、
もっと焼ける。
恐ろしいだろう?
ライハルまとめはこちら↓

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